詩 仰望の秋 市古輪

はじめまして!部員の市古輪です。

学祭で展示したものをブログで載せてもいいよ~と部長がおっしゃるので、載せちゃいます。

(ちなみに、あの展示物は全て完全新作です。展示が終わったら部員に返却されるか処分されてしまうので、こうやって公表しない限りはその場限りの短い命です)


「仰望の秋」 市古輪


  白い太陽は生き急ぎ、空は遥かに青いのに傾いている。

  秋こそ 息吹を感じはしないか

 

  空は澄み、煌々たる白が私の頬を刺す

  午後二時、空はまだ高く

  まぶしさに目が細まる とっくに使い物にはならなくなった

  睫毛がはじいたわずかな光すら。


  歩きなれた道ですら、違ったふうに見え、

  私は思わず立ち止まる。

  からの電車の通り過ぎる音が聞こえる

  車の停まる音が聞こえる


  人の歩く土の沈む音

  條々をぬうトンボの羽音

  葉のいちまい落ちた音

  私の息遣い

  虫の這う


  するどい日は私をまんべんなく温める

  目尻が熱くなる。

  片手で目を覆い、片手で抱きしめてくる秋よ、

  なんて白々しい光だろう。


  逃げて影に入れば、飽きたようにすぐに手放す。

  風は私を突き抜けてゆく 一人であることを証明する風。

  木々から伸びる影でさえたっぷりと秋の空気を吸い青く輝いている。

  

  白々しい秋

  すべての営みが許されている

  啼くも渇くも許されている

  無関心に許すのか、おまえ

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